税理士に業務を丸投げするとどうなる?—メリットとデメリットを徹底解説
税理士に業務を「丸投げ」することには、大きなメリットもあれば注意すべきデメリットもあります。経理や税務の知識がない個人事業主や中小企業経営者にとっては、税理士に任せることで負担が軽減される一方で、リスクやデメリットも発生する可能性があります。本記事では、税理士に税務業務を丸投げした場合のメリットとデメリットを詳しく解説します。
税理士に丸投げするメリット
1. 時間と手間を大幅に削減できる
税務処理や経理業務には多くの時間と手間がかかります。特に、確定申告や決算の時期は書類作成や計算が煩雑で、経営者にとって大きな負担となります。
- 税理士に丸投げすれば、日々の経理処理や税務申告をすべて任せることができるため、経営者は本業に集中できます。
- 書類の整理や税務署への対応をする必要がなくなり、ストレスが軽減される。
▼ 具体例
例えば、個人事業主が確定申告をする場合、自分で帳簿をつけて計算し、申告書を作成しなければなりません。しかし、税理士に依頼すれば、レシートや請求書を渡すだけで申告まで完了します。
2. 税務の専門知識が不要になる
税務に関する法律や制度は頻繁に改正されます。そのため、税務の知識を常にアップデートするのは税務の専門家ではない事業者にとって非常に困難です。
- 税理士に丸投げすれば、法律の改正に対応する必要がなくなり、間違った申告を防げる。
- 経験豊富な税理士なら、適切な節税対策や控除を最大限活用できるため、税金を適正に減らせる可能性がある。
▼ 具体例
「この経費は損金に算入できるか?」「青色申告と白色申告、どちらが有利か?」など、税務の判断が必要な場面で税理士が適切に処理してくれる。
3. 税務調査のリスクを軽減できる
税務署は定期的に事業者の税務調査を行いますが、税理士に任せておけば申告内容の正確性が高まり、税務調査のリスクを減らすことができる。
- 万が一、税務調査が入った場合でも、税理士が代理で対応することができるため、事業者自身が税務署と直接やり取りする手間が省ける。
- 不適切な経理処理を防げるため、追徴課税のリスクが減少する。
▼ 具体例
「うっかりミスで経費を二重計上してしまった」などの人的ミスも、税理士がチェックすれば防ぐことができる。
税理士に丸投げするデメリット
1. 料金が高くなる可能性がある
税理士にすべての業務を丸投げすると、その分の報酬が高額になることがある。
- 月額顧問料のほかに、決算申告費用や税務調査対応費用などが別途発生するケースがある。
- 記帳代行も依頼する場合、月額の費用がさらに増える。
▼ 具体例
「顧問料は月額3万円だと思っていたら、決算時に追加で20万円請求された」といったケースもあるため、契約時に料金体系を確認することが重要。
2. 経営者が財務状況を把握しにくくなる
税理士にすべて任せると、自分の会社や事業の財務状況を把握しにくくなる。
- 「売上は順調なのに、なぜか資金繰りが厳しい」などの問題が発生しても、原因を自分で把握しにくい。
- 税理士任せにすると、経営判断のための財務データを自分で分析する機会が減る。
▼ 具体例
税理士から「税金の支払いが〇〇万円です」と言われたが、「なぜこんなに高いのか?」がわからないまま支払うことになる。
3. 適切な節税対策を受けにくい可能性がある
税理士によっては、最低限の業務しか行わず、積極的な節税アドバイスをしないケースがある。
- 節税対策には、税理士と事業者の密なコミュニケーションが必要だが、丸投げすると節税のチャンスを逃してしまう可能性がある。
- 税理士によっては「申告の作業だけをする」と考えている場合もあり、節税の提案を期待しても十分なアドバイスを受けられないことも。
▼ 具体例
「本当は使える節税制度があったのに、税理士が何も言ってくれなかった」など、税金を余分に払うことになるケースもある。
4. 税理士との相性が合わないとトラブルになる
- 税理士の対応が遅いと、申告の期限ギリギリになって焦ることがある。
- 「もっと経営アドバイスが欲しかったのに、申告の処理だけされて終わった」という不満が生じる可能性がある。
- 「毎月の顧問料を払っているのに、相談すると追加料金が発生した」など、契約内容の認識違いでトラブルになるケースも。
▼ 具体例
「質問をしたら『それは別料金になります』と言われた」など、思っていたサービスと違うことがある。
まとめ:税理士に丸投げするべきか?
税理士に税務業務を丸投げすると、時間の節約や税務リスクの軽減といったメリットがありますが、コストが高くなり、経営者が財務状況を把握しにくくなるデメリットもあります。
税理士に丸投げするのが向いている人
✅ 本業が忙しく、税務処理に時間をかけたくない人
✅ 税務の知識がなく、ミスを防ぎたい人
✅ 税務調査のリスクをできるだけ減らしたい人
自分である程度把握した方がよい人
✅ 経営の数字を自分でしっかり管理したい人
✅ 節税対策を積極的に行いたい人
✅ コストを抑えたい人
最適な税理士を選び、適度に関与しながら依頼することがベストな方法と言えます。
●税理士に丸投げすることで得られる時間はどのくらいか?
税理士に業務を丸投げすることでどれくらいの時間を節約できるのか?
税理士に税務業務を丸投げすることで、経営者や個人事業主は大幅に時間を節約できます。具体的にどれくらいの時間が削減できるのか、個人事業主と法人(中小企業)に分けて具体的な計算を行い、どの業務が削減できるのかを詳しく解説します。
1. 個人事業主の場合(確定申告・日々の経理業務)
《主な税務関連の作業》
個人事業主が自分で確定申告をする場合、以下のような作業が発生します。
作業内容 | 1ヶ月あたりの作業時間 | 年間の作業時間(12ヶ月分) |
---|---|---|
日々の帳簿記帳(レシート・領収書整理) | 4時間 | 48時間 |
売上・経費の仕分け(会計ソフト入力) | 4時間 | 48時間 |
確定申告の準備(書類整理・計算) | 10時間 | 10時間 |
確定申告書の作成・提出 | 6時間 | 6時間 |
税務署からの問い合わせ対応 | 3時間 | 3時間 |
合計 | 約21時間/月 | 約115時間/年 |
✅ 税理士に丸投げすると…
- 確定申告の準備、申告書作成、税務署対応をすべて税理士が代行
- 年間で約115時間(約4.8日分)の時間を節約可能
- 1ヶ月あたり 約10〜20時間の時間削減 が見込める
- 週1〜2時間の作業がゼロになり、本業に専念できる
《具体例》
- フリーランスのデザイナーが確定申告を税理士に依頼することで、その時間をクライアントの案件に充てることができ、売上アップにつながる。
- 自分で税務処理をしていた個人事業主が、趣味や家族との時間を確保できるようになる。
2. 法人(中小企業)の場合(決算・月次処理・税務対応)
法人経営者(特に中小企業)の場合、税務関連の業務はさらに複雑になり、税理士に任せることで節約できる時間も増えます。
作業内容 | 1ヶ月あたりの作業時間 | 年間の作業時間(12ヶ月分) |
---|---|---|
領収書・請求書の整理 | 5時間 | 60時間 |
売上・経費の仕分け | 5時間 | 60時間 |
給与計算・源泉徴収 | 4時間 | 48時間 |
月次決算・試算表作成 | 6時間 | 72時間 |
年末調整・法定調書作成 | 8時間 | 8時間 |
決算書作成・申告業務 | 20時間 | 20時間 |
税務署や役所の対応 | 5時間 | 5時間 |
合計 | 約33時間/月 | 約273時間/年 |
✅ 税理士に丸投げすると…
- 記帳代行、給与計算、決算書作成、申告業務を税理士が代行
- 年間で約273時間(約11.4日分)の時間を節約可能
- 1ヶ月あたり 約30時間の時間削減 が見込める
- 経営者や経理担当者の負担が大幅に軽減
《具体例》
- 中小企業の社長が税務業務を税理士に依頼し、空いた時間を営業や事業拡大に充てることで売上を伸ばすことができる。
- 経理担当者が手作業で帳簿をつける時間がなくなり、その分を経費削減や資金繰りの管理に回せる。
3. 削減できる時間を具体的にイメージすると…
税理士に税務を丸投げすることで、個人事業主なら年間115時間(約5日分)、法人なら**年間273時間(約11日分)**が削減できます。
これは、次のような時間の使い方ができることを意味します。
個人事業主の場合
✅ 新規案件に取り組める時間が増える(年間115時間 = 追加案件4~6件)
✅ プライベートの時間を増やせる(家族との時間・趣味・リフレッシュ)
✅ 事業の成長戦略を考える時間が取れる(マーケティング・新しいサービス開発)
法人(中小企業)の場合
✅ 営業活動や新規顧客開拓に時間を使える(年間273時間 = 新規商談50件以上)
✅ 従業員の業務負担を減らし、生産性を向上できる
✅ 経営戦略や資金繰りに集中し、利益を最大化できる
4. まとめ – 税理士に丸投げすることで得られる時間の価値
税理士に税務業務を丸投げすることで、個人事業主なら年間115時間(約5日分)、法人なら**年間273時間(約11日分)**の時間を節約できます。この時間を有効活用すれば、売上アップ・経営の効率化・プライベートの充実につながります。
税理士に丸投げが向いている人
✅ 税務処理に時間を取られたくない人
✅ 本業に集中して事業を成長させたい人
✅ 経理・会計の知識がなく、税務ミスを防ぎたい人
税理士に依頼する際のポイント
- 料金体系を事前に確認し、追加費用が発生しないかチェックする
- 顧問契約を結ぶ前に、どこまで対応してくれるか明確にする
- 丸投げしても経営者自身が財務状況を把握する意識を持つ
税理士に適切に業務を依頼し、節約した時間を有効活用することで、事業の発展や生活の質を向上させることができます。